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「この世界の片隅に」を見に行った感想

この世界の片隅に」を見に行った感想です。

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最初の感想

もともと漫画を読んでいたので最初の感想としてはアニメで作品がだいぶ濃くなったなぁと感じました。

見た後は沢山のお土産を持たされたかのような感覚になり、他者が書いたレビューとか特集で大体の事は言われているのですが、私も文章にして残しておきたい気持ちになりました。

上質なアニメ化

漫画では読み手の感受性次第で淡々としたものから色々感じることができました。

アニメでは淡々としたもの一つ一つに魂が入ったため、読み手が想いを強めなくても目の前で繰り広げられる日々や出来事が否応なしに鮮烈に愛おしく感じました。

アニメ化になると絵が動き、色が入り、声が入り、芝居が入り、空気が作られ、小説だろうが漫画だろうが読者が思い描いていた他の可能性を全て消し去ってしまうのですが 「この世界の片隅に」は全て良い方向へ働いていました。

今まで漫画を読んで想像していたエネルギーを全て映像に委ねることができ、純粋に淡々と繰り広げられる日常や出来事をひたすらにじっと見つめることが出来ました。

この世界の片隅に」はその見つめ続けることで沢山考え感じることができる作品だと思うので、アニメにすることでより効果が増したと思います。

もちろん、ただアニメにしただけではこんなに良い雰囲気の作品にならなかったと思います。

間違った作り方をしてしまったら、安心して委ねる事もできませんし、淡々とした日常というのはただひたすらにつまらない冷めた映画になりかねません。

しかし、製作者たちの作品への理解とこだわりで今は昔の延長上で、生きている人たちも自分らと何ら変わりがないただ生まれる時だけが違った人の生活が映しだされていました。

とくにみんなで笑い合う場面や笑いどころ、ご飯を食べる場面というのはテンポを間違ったり演技が悪かったりするとすごく寒くなるけど、そのようなことは全く無く、逆に一緒に笑うことが出来たし、なぜだか気持ちを共有することが出来たような気にもなり、より愛着を持つことが出来ました。

映画の感想

映画を見た人の感想でよく目にするのが自分たちの生活と地続きとか、時代が違うだけで同じ人であることを感じたというのが出てくるんだけど例に漏れず私もそう感じました。

私だけなのかもしれないけど、何故か昔の人は愚かで野蛮という考えが心の何処かにあるのかもれしれないと思いました。

今まで男尊女卑の話や暴力、体罰、格差等、昔あった良くなかったことをを繰り返さないようにそこだけを注目して昔の文化を卑下する習慣があり、昔の人は無知で何も考えていなかった、野蛮だったとなんとなく刷り込まれていたのかもしれません。

時代、文明、文化が古いというだけでなんとなく、未熟だった人たちの昔の話として、戦争を含めた出来事についてもどこか自分たちとは違った人たちの過去の話と捉えがちだったのかもしれません。

しかし、この作品に出てくる人々や生き方は本当に現代の自分たちと同じ感じがしました。

例えるなら隣の明るい友人知人が同じ性格のまま、同じ明るさで同じ悩みを持ったまま違う時代で過ごしているだけのような感覚です。

それに対して下記のようなコメントがありまして、その通りだと思いました。

NHK クローズアップ現代+

例えば今、映画は実写ではあるけれども、CGやいろんな合成でどんどんリアルになっています。 銃声であるとか、撃たれた感触であるとか、血の吹き方であるとか、とてもリアルで、その場に自分がいるようなことだけれども、そちらから描くのではなく、その中心を描くのではなく、周りに、片隅の片隅にいる人たちを丁寧に描くことで、どんどん循環していくというか、つながっていった中で中心が見えてくるという、このやり方が本当にすばらしかったし、皆さんのふに落ちたといいますか、共感につながったんじゃないかなと、すごく思います。

説教くさく言ったり見せたりしなくても、人の生活やその日々に思っている人の感情を見つめることができれば、同じ人間だと気づくし昔の人と現代人は違うとも感じることもないと思います。

そんな全く同じ人が晴れたり大きく曇ったりしていく世界で、生きていくというのは自分と照らし合わせることができ、色々考え感じることが出来たと思います。

この作品で感じたこと

昔の日常を書いた話でもあるし、戦争の話でもある作品です。

どっちが主体というわけでもなく、一人の女性、すずさんを通した日常からの戦争、そして終戦への話です。

すずさんと同様に世界に愛着をもつのだからやっぱり辛い場面は辛いんです。

そんな辛い中でもすずさんをとおして置かれた時代を生きていく姿を見続ける作品です。

人の生き方というのは状況や出来事に大きく起因するのかもしれないけど、その後、気持ちに区切りをつけ過去を抱えながらも前を向くか過去を振り返り前を向かないでいるかはその人次第なのだろうと思いました。

辛い状況でも笑っていたり笑い合えたりしていると、全てを否定的に見ずに、笑えて来るときもあるのだと思いました。

表向き笑っても心で笑えないときもあるし全てが嫌になり死にたくなる時もあるけど、誰か近くで前を見て歩こうとする人がいると、やっぱり人間の感情というのは0と1ではなく自分も前を向いて行こうかという感情がどこかにあり、感化されるのだと思いました。

phaさんの「ニートの歩き方」の「集まっていると死ににくい」の言葉を思い出します。

どうやったって人は生きていかなきゃならないし、生まれた場所や時代、生まれ持ったものは変えられないけど、前を見て生きていくことは可能なんだと思います。

最後に人を助けるのは良心何だろうなと思いました。

これからはあまり人を憎まず生きていきたいですな。